不動産会社に転職するなら資格は必要?
結論から言えば、資格がなくても不動産会社への転職は可能ですが、長期的なキャリアを考えるなら資格取得は必須といえます。
その理由は大きく2つあります。
1つ目は、重要事項説明や契約書への記名捺印など、資格保有者にしかできない業務が存在するためです。
未経験で入社しても、資格がなければ一部の業務に携われないため、業務範囲が制限されてしまいます。
2つ目は、宅地建物取引業を営む不動産会社には宅建士の設置義務があり、従業員5人につき1人以上の割合で宅建士を配置しなければならないという法律があるためです。
そのため、資格保有者は重宝され、昇進や給与面でも優遇されやすい傾向にあります。
入社後の資格取得も可能ですが、転職時点で持っていれば、面接でのアピール材料にもなるでしょう。
不動産三冠・四冠資格とは?
不動産業界では、「三冠」「四冠」と呼ばれる重要な資格があります。
「宅地建物取引士」「マンション管理士」「管理業務主任者」の3つを「三冠資格」と呼び、この3つに「賃貸不動産経営管理士」を加えた4つを「四冠資格」と呼びます。
いずれも国家資格で、不動産管理のプロフェッショナルとして必要な専門性の高い資格として知られています。
不動産業界では宅建士を軸としながら、このような不動産関連資格を複数保有することでキャリアの幅を広げることができます。
三冠・四冠のすべてを取得している人材は、不動産のスペシャリストとして高く評価されるでしょう。
ここでは、それぞれの資格をご紹介します。
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宅地建物取引士
不動産関連の資格の中で、最も広く知られているのが宅地建物取引士(宅建士)という国家資格です。
毎年20万人以上が受験する人気資格で、不動産業界に関わっていない方でも、一度は名前を聞いたことがあるのではないでしょうか。
宅建士の最も重要な役割は、不動産取引における重要事項の説明です。
不動産取引は土地や建物の売買など、非常に高額な取引となります。
そのため、取引に不慣れな人が不当な契約を結んでしまい、損害を被ることがないよう、専門家として重要事項をしっかりと説明することが求められています。
▼取得するメリット
宅地建物取引業を営むためには、法律で定められた宅地建物取引業免許が必要です。
宅地建物取引業免許を取得するためには、事業所ごとに従業員5人に対して1人以上の割合で宅建士を配置することが義務付けられています。
また、宅建士には、下記の3つの独占業務があります。
- 重要事項の説明
- 重要事項説明書への記名
- 契約書への記名
不動産取引の最後に必ず行われるものなので、不動産取引では宅建士の資格が欠かせません。
そのため、宅建士の資格保有者は不動産業界で重宝されていて、多くの企業では資格保有者に資格手当を支給しています。
不動産以外の金融や建築関係でも、宅建士の知識が必要になる場面が多々あるため、異業種に転職する際にも役立つ資格です。
賃貸不動産経営管理士
新しく国家資格となった賃貸不動産経営管理士は、賃貸住宅管理に関する知識・技能・倫理観を持つ専門家です。
入居者の募集や契約に関する業務、住宅とその設備に対する法定点検やクリーニングなどの維持管理、住民間のトラブル対応などを行い、賃貸オーナーと入居者の双方をサポートします。
後述するマンション管理士や管理業務主任者は分譲マンションを対象としていますが、賃貸不動産経営管理士は名称の通り賃貸不動産が対象です。
▼取得するメリット
賃貸住宅所有者の多くが管理業務を委託する時代になっており、管理業務のニーズが高まっています。
管理戸数200戸以上の賃貸住宅管理業を行う場合は、「業務管理者」を設置する義務があり、事務所に1人以上設置しなければならないと定められています。
賃貸不動産経営管理士は、業務管理者の要件を満たす国家資格のため、管理業を行う企業からの需要が高い資格です。
また、人口が減りつつある今の時代に空室を減らすには、物件の適切な管理が欠かせないため、賃貸管理のプロとしての力が求められます。
マンション管理士
マンション管理士は、その名の通りマンション管理のスペシャリストです。
マンション管理士は、管理組合からの相談に応じて専門的なサポートを行います。
管理組合の役員は住民の中から選ばれますが、必ずしも法律や建築設備、会計などの専門知識を持っているわけではありません。
そのため、マンション管理士がその豊富な知識を活かして、管理組合運営のサポートを行います。
▼取得するメリット
マンションの数は右肩上がりで増え続けており、今後築年数の多い物件の増加も見込まれます。
マンションの資産価値を保つためには、適切な維持・管理が不可欠なことから、マンション管理士の需要が大きくなると予想されています。
また、マンション管理士は特別体力を使う業務ではないため、長く働くことが可能です。
住民トラブルの相談に対するアドバイスなど、人生経験が生きる場面も多いため、年齢を重ねた後も活躍できる仕事です。
管理業務主任者
マンション管理士と同様に、管理業務主任者もマンション管理の専門家として認められた国家資格です。
ただし、両者の立場は異なります。
マンション管理士が住民側の立場でサポートするのに対し、管理業務主任者は管理会社側の立場で業務を行う資格です。
具体的には、マンション管理会社や不動産会社に所属し、マンション管理業務に携わります。
管理業務主任者の主な業務は、管理組合からの業務委託に関する契約手続きです。
専門知識を活かしてマンションの管理運営を担当し、業務の状況確認や報告なども行います。
▼取得するメリット
マンション管理士と管理業務主任者は、どちらもマンション管理の専門家ですが、大きな違いがあります。
管理業務主任者には、以下の4つの独占業務が認められています。
- 管理受託契約を結ぶ際の管理組合への重要事項の説明
- 重要事項説明書への記名
- 管理受託契約書への記名
- 管理組合に対して定期的に管理事務の報告を行う
一方、マンション管理士には独占業務がありません。
マンション管理会社には、一定数の管理業務主任者を設置することが法律で義務付けられています。
そのため、管理業務主任者は管理会社への就職・転職に役立つ資格といえます。
その他の取得すると役立つ不動産資格
先ほどの三冠・四冠が不動産業界の代表的な資格ですが、その他にも不動産業界で役立つ資格はいくつかあります。
ここでは、不動産鑑定士・土地家屋調査士・ファイナンシャルプランナーの3つの資格をそれぞれご紹介します。
不動産鑑定士
不動産鑑定士は、不動産の価値を判定・評価する専門家です。
遺産相続、離婚時の財産分与、不動産の担保設定など、さまざまな場面で不動産の価値判定が必要です。
不動産鑑定士は、依頼に応じて土地や建物の価値を判定し、具体的な価格や賃料を示します。
また、不動産の有効活用に関するコンサルティングや、将来価格の予測・分析なども行います。
不動産関連資格の最高峰と言われ、試験の難易度も非常に高いのが特徴です。
▼取得するメリット
不動産鑑定士の最大の特徴は、不動産鑑定評価書の作成という独占業務を持つことです。
この評価書は法的効力を持つ重要な文書となります。
国土交通省によると、登録者数は約8,700人(2024年1月1日時点)と、希少価値の高い資格です。
また、地価公示や固定資産税の評価など、公的機関からの安定的な仕事が見込めることも大きなメリットです。
土地家屋調査士
土地家屋調査士は、不動産登記の専門家です。土地や建物の所有者、面積、所在など、権利関係を示す登記に必要な調査や測量を行います。
不動産登記の手続きは所有者に義務付けられていますが、非常に複雑なため、多くの場合は調査士が代理で申請手続きを行います。
また、土地の公的な境界が不明確な場合の調査なども担当します。
▼取得するメリット
「表示に関する登記」は土地家屋調査士の独占業務です。
この登記は法律で義務付けられているため、安定した業務量を見込めるでしょう。
また、公的機関からの調査を協会が受注し、所属する調査士で分担する制度があります。
そのため、独立直後でも仕事を確保しやすい傾向にあります。
ファイナンシャルプランナー
ファイナンシャルプランナーは、暮らしとお金の専門家です。
収入・支出、資産・負債、保険など、家計状況を総合的に分析し、相談者の理想のライフプランの実現や、金銭的な悩みの解決をサポートします。
相談者一人ひとりの状況が異なるため、金融、税制、不動産、住宅ローン、保険など、幅広い知識が必要です。
▼取得するメリット
不動産は人生で最も高額な買い物の一つであり、長期的な支払いが発生します。
そのため、家計における重要度も非常に高いです。
不動産会社で働く場合、ファイナンシャルプランナーの資格があると、取引に関連する制度や金融知識があることの証明になります。
さらに、顧客からの信頼も得やすくなります。
不動産会社の事務職に転職する場合も資格は必要?
不動産会社に事務職として就職する場合は、資格は必須ではありません。
しかし、資格を持っていると対応できる仕事の幅が広がります。
また、企業によっては宅建士や賃貸経営不動産管理士、ファイナンシャルプランナーなどの資格取得を推奨していたり、特に宅建士に関しては取得を義務付けている企業もあります。
そのため、転職・就職の際に他者との差別化を図るなら、資格取得は有効な手段となり得ます。
キャリアアップを目指す人にもおすすめです。
まとめ
この記事では、不動産業界で三冠・四冠と呼ばれる重要な資格や、その他の役立つ資格を含めて7つの不動産関連資格についてご紹介しました。
- 不動産会社は資格がなくても転職できるが、あると役立つ
- 不動産資格の三冠は宅建士、マンション管理士、管理業務主任者である
- 上記に賃貸不動産経営管理士を加えたものが不動産資格の四冠である
- その他に不動産鑑定士・土地家屋調査士なども不動産業界で役立つ
- 不動産事務に転職する場合は、資格は必須ではないが、あると役立つ
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